平成25年度 布教教化に関する告諭
曹洞宗管長 福山 諦法
今、私たちは、いのちに関わる多くの課題に直面しております。
先の東日本大震災・大津波・東京電力福島第一原子力発電所の事故などからの復旧復興、原子力発電に頼らない安心できる社会の実現、いじめ、自死、格差、貧困、戦争などの問題への取り組みです。
いずれも曹洞宗が掲げる「人権の尊重、平和の確立、環境の保全」の願いに関わることがらです。人びとの苦難をわが事と受け止め、自分だけの快適さや便利さを求める社会を見直し、一人ひとりのいのちが大切にされる社会を築いていきましょう。
そのために本年は、四摂法の「布施」、物でも心でも惜しみなく分かちあう菩薩行を柱として、「向き合う 伝える 支えあう」ことを具体的な目標といたします。
道元さまは、「布施」とはむさぼらないことと示されました。それは、へつらうことなく、見返りを求めることなく、互いに生かしあう生き方です。
瑩山さまは、坐禅のとき、慈悲心溢れる本来の生き方が広がると説かれました。無常迅速、生死事大の人生にあって、一日一日を疎かにせず、み仏とご先祖のみ前で姿勢を調え、息を調え、心を調え、静かに坐りましょう。
道のりは遠く険しくとも、人びとの悲しみやつらさに向きあい、互いの気持ちを素直に伝えて理解しあい、共に支えあう「布施」の菩薩行をすすめてまいりましょう。
お釈迦さまは、一切の生きとし生けるものに無量の慈しみの心をおこすべしとお示しです。
南無釈迦牟尼仏
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